技能実習制度の概要

技能実習制度は、我が国で開発され培われた技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、その開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする制度です。

 

平成28年の技能実習制度の見直しに伴い、新たに技能実習法とその関連法令が制定され、入管法令で規定されていた多くの部分が、技能実習法令で規定されることとなりました。

 

また、制度の基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)とされています。

1.外国人技能実習機構の設立

外国人技能実習機構を設立し、技能実習計画の認定、実習実施者の届出の受理、管理団体の許可申請の受理等を始め、実習実施者や監理団体に対する指導監督(実地検査・報告徴収)や、技能実習生からの申告・相談に応じるなど、技能実習制度の適正な実施及び技能実習生の保護に関する業務を行います。

2.技能実習計画の認定制

技能実習を行わせようとする者(実習実施者)は、技能実習計画を作成し、その技能実習計画が適当である旨の認定を受けなければなりません。

 

技能実習計画について認定を受けた場合であっても、その後、認定の基準を満たさなくなった場合や、認定計画のとおりに技能実習が行われていない場合等には実習認定の取消しが行われることになるので、常に法令等の基準を満たして技能実習を適正に行わせる必要があります。

 

なお、技能実習計画は、技能実習生ごとに、第1号、第2号及び第3号の区分を設けて認定を受けることとされており、特に第3号技能実習計画に関しては、実習実施者が「技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること」(法第9条第10号)が認定の基準となります。

3.実習実施者の届出制

実習実施者について、届出制とされています。実習実施者が技能実習を開始したときには、遅滞なく届け出なければなりません。

 

届出は、外国人技能実習機構の地方事務所・支所の認定課に行います。

4.監理団体の許可制

監理事業を行おうとする者は、主務大臣の許可を受けなければなりません。

 

監理団体が許可を受けた場合であっても、その後、許可の基準を満たさなくなった場合には、監理事業の全部又は一部の停止や、監理事業の許可の取消しが行われることになるので、常に法令等の基準を満たして監理事業を適正に行う必要があります。

 

なお、監理団体の許可には、一般監理事業の許可と特定監理事業の許可の2区分があり、一般監理事業の許可を受ければ第1号から第3号までの全ての段階の技能実習に係る監理事業を行うことができ、特定監理事業の許可を受ければ第1号技能実習及び第2号技能実習に係る監理事業を行うことができます。

 

許可申請は、外国人技能実習機構の本部事務所の審査課に行います。最終的な許否の判断は主務大臣が行います。

5.技能実習生の保護

技能実習生の保護のため、技能実習の強制、違約金設定、旅券又は在留カードの保管等に対する禁止規定を法律に定めるほか、これに違反した場合の罰則に関する規定が定められています。

 

実習実施者又は監理団体の法令違反があった場合には、技能実習生が当該事実を出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に通報・申告することができることとし、技能実習生からの相談に応じる体制を整備しています。

 

また、人権侵害行為を受けた技能実習生が引き続き技能実習を継続することができるよう、機構において転籍を支援する体制も整備することとされています。

技能実習生の受入れの方式

1.企業単独型

日本の企業等(実習実施者)が、海外の現地法人・合弁企業又は一定の密接な関係を有する機関(大口取引先企業等)の職員を受け入れて技能実習を実施する方式

2.団体監理型

非営利の監理団体(事業協同組合、商工会等)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する方式

技能実習の区分

技能実習の在留資格は「1号~3号」、「イ、ロ」の組合せにより次のとおりに区分されます。

企業単独型 団体監理型
1年目(技能等の修得活動) 技能実習1号イ 技能実習1号ロ
2~3年目(技能等の習熟活動) 技能実習2号イ 技能実習2号ロ
4~5年目(技能等の熟達活動) 技能実習3号イ 技能実習3号ロ